Part 6 Text Completion「長文穴埋め問題」

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各パートの出題形式と概要はインデックスページをご覧ください。

【ご注意】英文および解説の無断の転用・転載を禁止します。

TOEIC TEST Part 6 の詳しい解き方のコツ

手紙文やEメール,広告,指示文,記事など,150 語から 200 語程度の文章に空所があり,その空所に当てはまる単語や語句,文を4つの選択肢の中から選ぶ形式です。

2016 年5月からの改訂で,少し変更があります。1つの文章に含まれる設問が,3問から4問に増えます。文章は4つありますから,問題数が 12 問から 16 問に増えたことになります。

文章中に表示されていた選択肢が,文章の枠の外に表示されることになりました。

そして,文章の空欄に当てはまる1つの文を選択する問題が加わります。文章の流れや構成・展開をしっかり理解しながら読む必要があります。

このページのコンテンツリスト

1.2016 年の改訂による変更点

2016 年5月からの改訂で,この「長文穴埋め問題」にも変更がありました。次のようになります。

  1. 問題数が増える。
    • 文章の数は4のまま変わりませんが,1つの文章に出題される設問数が,3問から 4問に増え,合計で 16 問になりました。
  2. 選択肢が文書の外に。
    • 以前の出題形式では,文章中に空所があり,その下に4つの選択肢が掲載されていました。2016 年の改訂で,空所の番号(問題番号)は文章中に設けられていますが,選択肢は,文章の枠の外に表示されます。
  3. 文章の空欄に当てはまる1つの「文」を選択する問題が加わる。
    • 改訂前までは,選択肢は「語」か「語句」でしたが,1つの文が加わります。4つの空所のうちのどれが「文問題」になるのかは不定なので,文章の流れや構成・展開をしっかり理解しながら読んでいかなければなりません。つまり,選択肢と空所の前後だけでは正解が判断しにくい問題づくりになっていると言えます。

それでは,こうした変更点の攻略法(解き方)を,例題を見ながら考えていきましょう。

1つの文を空欄に埋める設問が加わる

これまでの「長文穴埋め問題」の出題形式は,1つの文章に3つの空所があり,語や語句の選択肢の中から正解を選ぶものでした。4つの文章に3問付いていましたから,計 12 問でしたが,2016 年5月の改訂で,空欄に当てはまる「1つの文」を選ぶ設問が加わりました。

例題を見てみましょう。

例題をチェック:一般疑問文とその応答

Questions 1-4 refer to the following newspaper article.
City Losing

...

Mr. Abbot wanted to retire and no one in his family wanted to manage the restaurant. ------- Mr. Abbot said “The Port House should be run by an Abbot or not run at all.”

(A) Still now, he plans to keep on managing the Port House restaurant.

(B) Because the restaurant will no longer be on Port Street, it will get a new name.

(C) Though he was offered handsome sums of money to sell the restaurant and the name, he declined.

(D) Thus, the new manager of the restaurant will not be a member of the Abbot family.

この形式の詳しい説明と英文、全文訳はナラボー・プレス執筆・あさ出版発刊の『これだけ! TOEIC TEST全パート完全攻略! 【CD付】』に掲載されています。

問題文の読み方と解き方

それでは解き方を考えていきましょう。
この問題では,1つの文を挿入する設問は4問目に来ていますが,何問目に来るかは決まっていません。ただし,1つの文章につき,4問のうちの1つは,必ず「文挿入設問」になります。
では,「文挿入設問」を見ていきましょう。選択肢の訳は,それぞれ次のようになります。

(A) 今でも,彼は Port House レストランを経営し続けようと考えている。

(B) そのレストランは Port 通りからなくなってしまうので,新しい名前を付けることになる。

(C) レストランとその名前に対してかなりの額を提示されたが,彼はそれを断った。

(D) こうして,レストランの新しい経営者は Abbot 家の一員ではなくなるのである。

これまでの「長文穴埋め問題」では,特に文法に関する設問(選択肢が複数の語句で成り立っている)などでは,文章全体を読まずに,空所の前後だけで正解できるようなこともありました。しかし,この「文挿入設問」では,文の流れと展開がしっかりと理解できないと,正解は出せません。

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2.Part 6 の詳しい出題形式

出題形式

手紙文やEメール、広告、指示文、記事など、Part 7 の「読解問題」に使われる、150 語から 200 語程度の英語の文章の3か所が空所になっており、その空所に当てはまる単語や語句を4つの選択肢の中から選ぶ形式です。形式と解答方法は、Part 5 の「短文穴埋め問題」とほぼ同じです。

文章は4題、4つの文章に3か所の空所だから、合計 12 問となる。

知単文穴埋め問題との違い

出題パターンは「短文穴埋め問題」と大きく変わることはありません。ただ、「短文穴埋め問題」では1つの英文で問題が完結していますが、「長文穴埋め問題」は、空所を含む文だけでは解答できないこともあります。

TOEIC を開発している ETS(Educational Testing Service )が「新 TOEIC テスト」の開発に際して宣言しているように、「よりオーセンティックな、現場英語を読ませる」問題形式になっていると言えます。長文の読解力と文法力、語彙力など、総合力が問われる出題形式です。

解き方のポイント

TOEIC の試験時間は次のとおり。

75 分を 100 問で割ると1問あたり 0.75 分、つまり 45 秒だが、Part 7 は英文の量が半端ではないので、できるだけ時間は温存しておきたいところです。

Part 5 の「短文穴埋め問題」と、この Part 6「長文穴埋め問題」では、1問あたり 30 秒を目標に時間配分のトレーニングもしておきましょう。

英文すべてを読んで内容を理解し、空所に当てはまる単語や語句を考えて選ぶのが本来の解き方ではあるが、この方法では、とても時間が足りません。そこで、短い時間で解答するコツを考えてみましょう。

出題パターンと攻略法

このパートでは、問題を次の 2 つのパターンに瞬時に振り分けて解くことがポイントとなります。

そして、選択肢の種類から、次のように、出題パターンと攻略法を分類できます。

①選択肢に同じ品詞の語が並んでいるもの ― パターン B

語彙問題、つまり意味から選択肢を判断する問題である。したがって、空所の該当文はもちろん、その前後の文章も読まなければならない。やや時間がかかる。it や that などの代名詞が使われている文では、その代名詞が指す内容もつかむこと。

②選択肢に同じ単語の変化形や派生形が並んでいるもの ― パターン A

文法問題。該当文だけ、あるいは極端に言うと、空所の前後だけで判断することも可能。ただ、時間に少し余裕があるようなら、少なくとも該当文は全体をざっと読んでから意味をつかもう。

③選択肢に前置詞や副詞、接続詞などが使われているもの ― パターン B

文法問題だが、前後の文をしっかり読む必要がある問題。文の前後から「順接」か「逆接」かを判断したり相関語句などを判断したりする。

④選択肢が複数の語句で成り立っているもの ― パターン A

文法問題。該当文をざっと読んで、主節と従属節の時制の違いなどをつかむ。空所の前後だけで短絡的に判断しないこと。

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3. 同じ品詞の選択肢

ポイント1
選択肢が動詞だけや名詞だけだったら、意味で考える

空所に当てはまる4つの選択肢をざっと見て、動詞だけとか名詞だけが並んでいたら、文法や構文から正解を引き出そうとしないようにしましょう。文の意味をつかまないと答えは出ません。

下の例題でも、空所の前の applies to は「…に適用される」という意味で、to のあとには名詞が続きます。そして、選択肢がすべて名詞なので、文の意味と単語の意味の関係を考えるしか方法がないのです。

ポイント2
最低でも該当文だけはしっかり読む。
→ 時間の余裕があれば、もっと広く読む。

空所の前後だけを見ただけでは、正解は判断できません。最低でも空所を含む文は、全体を読んで意味をつかみましょう。空所を含む文に that や it、they などの代名詞が含まれている場合は、当然その前の文やさらに前の文も読み、その代名詞が何を指すのかを判断しなければ、意味はつかめません。

時間に余裕があれば、出題文全体を読んで確実に意味をつかむのが、もちろんよいでしょう。

例題をチェック:同じ品詞の選択肢

The Green Hotel is celebrating 40 years of operation in Atlantic City with a special deal for couples aged 40 and over. Stay for two nights during the month of October and get a 40-percent discount on the room rate the second night. The offer only applies to ------- of two who each present identification showing they are 40 years old or older.

(A) sets

(B) participants

(C) parties

(D) types


グリーンホテルではアトランティックシティーでの開業 40 年を祝して、40 歳以上のカップルの方を優遇いたします。10 月中に2泊されますと、2泊目の室料が 40 パーセント値引きとなります。この特典は、2名一組のお客様で、40 歳以上であることを示す身分証をお一人ずつ提示された場合にのみ適用されます。

空所のある文では、その特別な宿泊プラン(offer)を利用するための条件を説明しています。2行目の a special deal for couples より、宿泊プランの対象が「2人一組」の客であると判断できます。(C)の parties を入れて parties of two(2人の一行)とすると、couples と同じ意味になります。したがって、(C)が正解です。
(A)の sets は人に対しては用いません。(B)の participants は個々の人たちを指すし、何かの催し物に集まっているという状況ではないので、誤り。(D)の types では意味が通じません。

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4. 派生形や派生語の選択肢

ポイント1
  選択肢に派生形や派生語が並んでいたら、文法や構文で考える

選択肢に、同じ語幹の単語が並んでいることがあります。ある単語の名詞形、形容詞形、動詞形などです。このようなパターンのときは、文法や構文から判断できる。文章の意味をざっと読んでつかんでおくのはもちろんですが、空所の前後だけで判断できることも、まれにあります。

下の例文の場合は、1つだけ形容詞で、ほかの3つは名詞なので、意味も考えなければなりません。

ポイント2
 文の構成を考える→
  空所の前に冠詞があるか

空所のあとは名詞か形容詞か

空所のある文の主語はどれか、述部(助動詞や動詞群)はどの部分か、目的語はどれかなどを、まず判断しましょう。それから、空所の前に冠詞や代名詞があるか、空所のあとは名詞なのか形容詞なのか、それとも動詞なのかなどを見て、それぞれに合った品詞を選択します。

例題をチェック:派生形や派生語の選択肢

The "It's Worth the Trip to Maxwell" ad campaign was a hit. Seven other car dealerships eventually moved out to join Maxwell Motors along Southern Avenue. Even with the -------, business is good and we'd like you to join the party.

(A) competence

(B) competition

(C) competitive

(D) competitiveness


「マックスウェルまで行く価値あり」という広告キャンペーンは大成功でした。結局、他の7つの自動車販売代理店が移転してきて、サザン通り沿いのマックスウェル・モーターズに仲間入りしたのです。競争はありますが、商売はうまくいっておりますので、皆さんにパーティーに参加していただきたいと思います。

空所の前には the があり、後ろはコンマで区切られています。そして、そのあとには business is ...という文が続いています。したがって、名詞が入る。(C)の competitive は「競争力の強い」という形容詞なので除外。残りの3つは名詞だが、Even with the -------, business is good は「…にもかかわらず、商売は順調である」という意味。他社が同じ場所に進出してきたと述べているので、「競争」という意味の(B) competition が適する。(A)の competence は「能力」、(D)の competitiveness は「競争心」という意味で、合わない。

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5. 前置詞や接続詞の選択肢

ポイント1
  選択肢に前置詞や副詞、接続詞があったら、つながりを判断する
空所のあとは語句か、それとも節か

選択肢に前置詞や副詞、接続詞が使われている場合は、主節と従属節のつながりを判断する。空所のあとが語句であれば、前置詞が当てはまり、<主語+述語>の節が続いていれば、空所には接続詞が当てはまることになる。

下の例題では、空所のあとには節が続いています。

ポイント2
  選択肢が接続詞だけだったら、
→ 主節と従属節の関係を調べる。
「…だけど」か、「…だから」か

選択肢がすべて接続詞であれば、空所のあとには節が続きます。そこで、主節と従属節の関係を調べる必要があります。つまり、「…なので」と順接になっているのか、「…だけれども」と逆説になっているのかをチェックします。

また、either、neither、both、also などが選択肢に使われることもあります。こうしたときは「相関語句」をチェックしましょう。

例題をチェック:前置詞や接続詞の選択肢

These items appeared on your March bill which you paid in full on April 14. We apologize for this and enclose a $20.00 gift certificate good at any time in our Café Delight. ------- you use less than the amount of the gift certificate at the time of redemption, the remainder will be given to you in cash.

(A) Should

(B) Without

(C) Unless

(D) Despite


それらの品物はあなた様の3月分の請求書に掲載され、4 月 14 日に全額お支払いいただいております。この件につきましてお詫び申し上げるとともに、弊社のカフェ・デライトでいつでもご利用になれる 20 ドル分の商品券を同封いたします。ご利用の際、お会計が商品券の額よりも少なければ、差額を現金で差し上げます。

空所のあとが節なので、前置詞の without と despite は除外できる。(C)の unless は否定を表すので、商品券の金額ぴったりかそれ以上使うことになってしまい、差額が発生しません。
(A)の should を条件節に使うと、節全体が「万一…ならば」という意味になり、適切です。if を省略して should を主語の前に置いた倒置構文です。if を省略した条件節では、主語と動詞[助動詞]の語順が入れ替わります。

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6. 複数の語句になった選択肢

ポイント1
  選択肢が複数の語句で成り立っていたら、
 →時制をチェックする

下の例題のように、選択肢が語句になったものは、時制を問う問題が多い。空所の前後、あるいはその前の文などを参考に、時制を考えましょう。

時制のポイント

ポイント2
 完了形や動詞の過去形が使われていたら、
 ⇒ 仮定法の可能性もチェックしよう

選択肢に、would have been とか過去完了形などが使われていたら、完了形の可能性もチェックしましょう。

仮定法のポイント

例題をチェック:複数の語句になった選択肢

A fire burned the former Lindel shoe factory at 2895 Warner Ave. in suburban Santa Ana late Monday night. The building had just been chosen for redevelopment into a mixed complex of condominiums, stores and an upscale hotel. Renovation of the structure ------- to begin on the 27th of next month.

(A) is planning

(B) would plan

(C) is going to plan

(D) was planned


月曜日の深夜、サンタアナ市郊外のワーナー通り 2895 番地の元リンデル社の靴製造工場が燃えるという火災が発生した。建物は、分譲マンションと店舗、高級ホテルから成る複合施設をつくる再開発計画に選ばれたばかりで、改築が来月 27 日から始まることになっていたのです。

改築作業の予定は火事の前に決まっていたと考えるのが妥当。つまり、計画が白紙になり、過去のものになったと考えるのがよいでしょう。よって、過去を表す(D)の was planned が正解です。(A)や(C)では、話の流れに時制が合わない。(B)では主語が合わない。renovation は「計画される側」なので、受動態にすべきです。

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7.より深い長文理解のために

英語で書かれた文章を理解するためには、まず単語力が必要です。そして、構文を理解する力、文法力なども最低限は必要です。こうした要素に加え、次のようなちょっとした「読解のヒント」も、長文をより深く理解するためには欠かせません。

関係代名詞の制限用法と非制限用法

関係代名詞の前にコンマが付いたものと付いていないものがあります。コンマの有無によって意味が微妙に違うことがあるので、読むときに注意が必要です。

【例】
He is staying with his uncle who lives in San Francisco.
He is staying with his uncle, who lives in San Francisco.

コンマのない上の文では、彼には叔父が 2人以上いる可能性があります。コンマの付いた下の文では、叔父はサンフランシスコにいる 1人だけです。こうしたことから、上のようなコンマのない関係代名詞が使われている場合、ほかの可能性を頭の片隅に置いて読んでいく必要が出てきます。

不定代名詞の理解

one:前に出た可算名詞の代用。a[an] ~に相当。
another:複数残っている可算名詞の1つを指す。
the other:「残りの1つ」のこと。複数残っている「残り全部」は the others と複数形になります。

【例】
They have three daughters. One is a lawyer and lives in Tokyo. Another is a doctor, and the other is still a student.
「彼らには娘が3人います。1人は弁護士で東京に住み、1人は医者で、最後の 1人はまだ学生だ」

some:全体の一部を指す。可算・不可算のいずれにも使える。
others:いくつか残っている可算名詞の一部を指す。
any:some と同じ意味だが、疑問文や否定文、条件文で使われる。

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