Part 1 Photographs「写真描写問題」

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各パートの出題形式と概要はインデックスページをご覧ください。

【ご注意】英文および解説の無断の転用・転載を禁止します。

TOEIC TEST Part 1 の詳しい解き方のコツ

写真を見ながら4つの説明文(描写文)を聞き,正しいものを選ぶ問題です。描写文は,いずれも数語程度の短いもので,あまりむずかしい単語も使われません。
「写真描写問題」は7つのパートの中でも最も正解しやすい問題ですから,ケアレスミスは許されません。余裕を持って答えられるよう,本書でお伝えする時間配分や写真の見方,そして,それに関連する英文の予測の仕方などを十分に習得しておきましょう。

主な変更点:2016 年5月の改訂では,出題形式の変更はありませんが,問題数が 10 問から6問に減りました。

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1.「写真描写問題」の出題形式

Part 1「写真描写問題」は,写真を見ながらその写真を描写する文を4つ聞き,最も適切な描写文を選ぶ問題です。テスト冊子には写真のみが掲載されています。 その写真を見ながら英文を聞いて答えます。

2016 年 5 月の改訂では,出題形式の変更はありませんが,問題数が減りました。

写真を見ながら4つの説明文(描写文)を聞き,正しいものを選ぶ問題です。描写文は,いずれも数語程度の短いもので,あまりむずかしい単語も使われません。
「写真描写問題」は7つのパートの中でも最も正解しやすい問題ですから,ケアレスミスは許されません。余裕を持って答えられるよう,本書でお伝えする時間配分や写真の見方,そして,それに関連する英文の予測の仕方などを十分に習得しておきましょう。

使われる英文と文法

英文の長さは 5 ~ 10 語程度の短いもので,内容は,写真の情景によって,人の動作を描写したもの,人や物の位置関係を描写したもの,物体の形状を描写したものなど様々です。ただし,写真からは判断できない「人の心情」を表すような英文は使われません。

文法的には,写真の情景を描写する文なので,必然的に「… をしています」という現在進行形の文がほとんどです。過去形や未来形では写真を描写することができませんので,こうした時制の文は使われません。

ただし,現在完了形の文は「過去の出来事が現在に影響を及ぼしている」ことを表現し,現在のことを表す文ですから,使われることがあります。過去形だと早とちりして間違いだと判断しないように注意しましょう。

情景によって決定される英文のパターン

出題される英文の内容や文法は,写真の情景によって決定づけられると言ってもよいでしょう。ですから,情景と英文パターンの傾向を熟知しておけば,テスト冊子に載っている写真を見た瞬間に英文を予測することができ,正誤判断が的確になってきます。

では写真の情景を大きく次のように分類し,例題を見ながら出題パターンの特徴とその聞き方を学習していきましょう。

Part 1 主な写真の分類

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2.人物が1人だけ写っている写真

出題される多くが人物の写真で、1人だけ写っているものが多く出題されます。こうした写真の出題パターンと文の特徴、そして聴き方のポイントを見ていきましょう。

ポイント1
 描写文の主語がすべて同じになる→
  主語を聴き逃してもあわてずに述部の動詞を聴き取る

1人しか写っていないので、それ以外の人物を描写しようがありません。したがって、主語はすべて同じになると予測できます。選択肢が4文とも The man is .... とか The woman is ... のようになりやすいということです。つまり、主語にはあまり注意を払う必要がありません。
述部の部分に注意して聴きましょう。これには、動作を表す動詞の現在分詞が多く使われます。

ポイント2
 同じ人物を別の主語で表現する→
  同一人物を表現している。
 主語は同じだと思う

1人しか写っていないのに主語が違うことがあります。例えば、自転車に乗っている人物を、The man、The bicyclist、The rider、The cyclist のように表現しています。

主語が違うため人が複数いるかのように思ってしまいますが、写真には1人しか写っていないので、同じ人物を表しています。したがって、述語部分を聴き取ればよいことに変わりはありません。主語が分からなくても述語が理解できればよいのです。

人の表現として、shopper(買い物をしている人)、customer(買い物客)、driver(運転者)、passenger(乗客、助手席に乗っている人)、pedestrian(歩行者)などがよく使われます。

例題をチェック:人物が1人だけ写っている写真

人物1人だけの写真

(A) The woman is reading a memo.

(B) The woman is mailing a letter.

(C) The woman is wearing a jacket.

(D) The woman is writing a letter.


(A) 女性はメモを読んでいます。

(B) 女性はポストに手紙を投函しようとしています。

(C) 女性はジャケットを着ています。

(D) 女性は手紙を書いています。

A

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3.人物が2人写っている写真

人物が2人写っている場合、2人が男女なのか同性なのかによって聴き方が違ってきます。

ポイント1
 男女の写真は主語で判別→
  男女を判別したら、述部を聴いて判断する。
 2人をまとめて表現する文には特に注意しよう。

男女の写真では、主語が The man あるいは The woman に分かれると予測されるので、冒頭の主語をまずキャッチしましょう。The man なら男性を見て描写を聴きます。The woman なら女性の描写で正誤判断をします。

ただし、いつも男女を別々に描写するとは限りません。例えば、They are walking along the river.(彼らは川沿いを歩いている)のように、2人ともを主語にすることがあります。こうした表現にも瞬時に対応しましょう。

ポイント2
 同性の人が写っていたら、→
  主語が語句で修飾される。
 修飾語句の理解がポイント。

同性の 2人が写っている写真では、The man や The woman だけでは人物を特定できないので、必然的に、人物を修飾する表現が使われます。 いわゆる「分詞の形容詞的用法」が使われるのです。

分詞の形容詞的用法とは

動詞の現在分詞や過去分詞が名詞を修飾する形容詞の働きをするものです。通常、分詞が単独で名詞を修飾する場合は「名詞の前に」置かれ、 ほかの語句を伴って修飾する場合は「名詞のあとに」置かれます。

【例】
the working man「働いている男性」
the man wearing a hard hat「ヘルメットをかぶった男性」

例題をチェック:人物が2人写っている写真

人物が2人写っている写真

(A) Customers are examining chairs in a furniture store.

(B) There are two vacant seats in the room.

(C) A man and a woman are holding a conversation.

(D) The woman is talking on the phone.


(A) 客が家具店で椅子を吟味しています。

(B) 部屋には空席が2つあります。

(C) 男性と女性がおしゃべりをしています。

(D) 女性は電話で話しています。

C

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4.人物が3人以上写っている写真

ここでは、3人以上(大勢)の人物が写っている写真の攻略法を考えてみましょう。当然、男女やいろいろな年齢層の人が多く含まれています。

ポイント1
 主語が多岐にわたりやすい→
  冒頭から主語をしっかり聴き取る。
 人物を修飾する表現をキャッチ。

人物が 1人や2人のシンプルな写真に比べ、大勢の人が写っている写真は、主語を予測するのが困難になります。冒頭から主語をしっかりキャッチしましょう。さらに、人物を特定する「修飾表現」の理解がポイントとなります。前に述べた「分詞の形容詞的用法」もよく使われます。

また、人物を修飾する方法として、次のように前置詞を使ったものも使われることが多くあります。

【例】
the man with a cap「帽子をかぶった男性」
the woman in a dress「ワンピースの女性」

ポイント2
 位置関係を表す表現が使われやすい→
  前置詞句の聴き取りがポイント。
 主語と前置詞句の両面から判断。

大勢の中から人物を特定するためにいろいろな修飾表現が使われます。 下の写真のように人物が身に着けているもののほかにも、位置関係を表す前置詞句も、こうした大勢の人が写っている写真では使われます。例題でも、(A) に behind the table(テーブルの向こう側の)が使われていますね。

よく使われる前置詞句には次のようなものがあります。

【例】
next to ...「…の隣の」
between A and B「Aと B のあいだにある」
across from ...「…の向かいにある」
beneath ...「…の下にある」

例題をチェック:人物が3人以上写っている写真

人物が3人以上写っている写真

(A) One man behind the table has a bag.

(B) The woman looking through the book has a hat.

(C) People are lined up at the book-signing party.

(D) People are looking up at the timetable.


(A) テーブルの向こうの男性の 1人がカバンを持っています。

(B) 本に目を通している女性は帽子を持っています。

(C) 人々が本のサイン会で並んでいます。

(D) 人々が時刻表を見上げています。

A

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5.物体や景色の写真

人物が写っていない、物だけや景色の写真を使った問題が出題されることもあります。こうした写真では、当然、人物が写っている写真とは違った英文のパターンになることが予測されます。

ポイント1
 メインの対象物が1つだけの写真→
  選択肢の主語が4つとも同じになりやすい。
 状態や形状を表す表現が使われる

自転車が1台だけとか、草原に立つ1本の木のような写真の場合、 人物が 1人だけの写真と同じように、主語が同じになると予測されます。 よって、述部に注意して聴きましょう。

ただし人物と違い、物体の形状や状態を表現する形容詞が使われやすい傾向にあります。また、人間の行為のような表現(擬人表現)が使われることもあるので、注意が必要です。

【例】
A guitar is resting on the sofa.
「ソファーにギターが置いてある」

さらに、1つの物体をいろいろな表現で描写することもあります。例えば「車」を、car、vehicle、convertible、automobile のように表現する。写っているのは車なので、惑わされないことが肝要です。

ポイント2
 景色全体を写した写真では→
  位置関係の表現に注意。
 情景の描写を聴き取ろう

景色の写真では、動作を表す動詞はあまり使われず、下の例題のように「状態を表す」動詞がよく使われます。形容詞や受動態の表現に慣れておきましょう。

また、主語が写真全体を描写する表現になることが多いので、写真全体を見渡しながら選択肢が聞こえてくるのを待ちましょう。

例題をチェック:物体や景色の写真

物体や景色の写真

(A) The footsteps cross the snow.

(B) This sidewalk is crowded.

(C) The traffic on the road is heavy.

(D) The path leads through the woods.


(A) 雪の上に人の足跡が付いています。

(B) この歩道は混みあっています。

(C) 道路が車で渋滞しています。

(D) 小道は林の中へ通じています。

D

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6.人物や物体が混在している写真

「写真描写問題」の最後は、人や物が混在している写真の攻略法について考えてみましょう。

ポイント1
 主語が多岐にわたる
  → 文頭からしっかり聴くこと。
 形容詞や位置関係を表す表現がポイント。

大勢の人物が写っている写真と同様、主語が予測しにくい。主語が4つとも違ってくる可能性が高いので、文頭からしっかり聴き、どの部分の描写なのかをキャッチしましょう。主語だけではなく、文全体も長くなることが予測されます。

また、複数の人や物が混在しているのですから、その位置関係や状態を描写する前置詞句や形容詞が使われることが多くなります。日頃から、形容詞句と写真を一致させる学習法を採り入れておきましょう。

擬人法が使われる→
  まず主語を確実にキャッチ。
 主語と述部をまとめて判断する。

人と物が混在した写真で注意すべきことは、「物が1つの写真」のところでも述べた「擬人法」です。物も人も写っているために、擬人法が使われると、物が主語の場合でも「人を描写した文ではないか」と勘違いしてしまいがちです。必ず主語と述部をまとめて判断しましょう。

【擬人法の例】
The book is resting ~「本は~にある」
A bike is lying on the ~「自転車が~の上にある」
The house is facing ~「家は~を向いている」
A truck is waiting at ~「トラックが~で停まっている」
A ladder is leaning against ~「はしごが~に立てかかっている」

例題をチェック:人物や物体が混在している写真

人物や物体が混在している写真

(A) A railing is holding back the crowd.

(B) A woman is making a child get on a car.

(C) An adult and a child stand near a table.

(D) Customers are looking at furniture inside a shop.


(A) 手すりが群衆を押しとどめています。

(B) 女性が子供を車に乗せています。

(C) 大人 1人と子供 1人がテーブルの近くに立っています。

(D) 客たちが店内で家具を見ています。

C

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7.ひっかけ問題の対処法

TOEIC では、選択肢の中に発音の紛らわしい単語や表現、状況の紛らわしい表現などを巧みに織り込み、誤答を誘っている問題が多く出題されます。こうした問題を、一般では「ひっかけ問題」と呼んでいます。

ここでは、「写真描写問題」でのひっかけ問題のパターンとその見抜き方を考えてみましょう。

ポイント1
 紛らわしい発音を使ったもの

「紛らわしい発音」と聞くと、すぐに[r] と[l] や[Θ] と[s] のことを思い浮かべてしまうかもしれませんが、TOEIC では、個々の単語の微妙な発音の違いだけで正解と誤答を分けるようなことはしません。写真を見ながら聞くとうっかり間違えてしまうような発音の語や表現を使って誤答を誘うのです。

下の例題を見ながら、そのポイントを考えてみましょう。結婚式のある風景です。この写真を見た受験者は、wedding や bride などの単語を思い浮かべるでしょう。こうした予測(先入観)をうまく利用した選択肢が用意されます。

例題をチェック:ひっかけ問題の対処法

ひっかけ問題の写真

(A) A woman in a flowery dress is holding yarn.

(B) They are receiving a welding lesson.

(C) A woman in a long dress has a bucket of water.

(D) People dressed for a ceremony are on the lawn.


(A) 花柄のワンピースを着た女性が糸を抱えています。

(B) 彼らは溶接の仕方を習っています。

(C) 長いドレスを着た女性が水の入ったバケツを持っています。

(D) 式典用の衣装を着た人たちが芝生の上にいます。

まず(A) には、花嫁が持っている花束と紛らわしい flowery dress(花柄のワンピース)が使われています。動詞に holding(抱えている)が使われているため、よけいに紛らわしく思えます。

(B) の welding は wedding と紛らわしい。ただ、文尾の lesson を聴けば間違いに気付く選択肢です。

(C) の bucket は bouquet と発音が似ていて紛らわしいが、これも続く of water まで聴けば、「水の入ったバケツ」だと判断できます。

この問題は、結婚式を ceremony と表現している(D) が正解です。

このように、発音の紛らわしい単語は、単体でなくその前後に続く表現と絡ませて意味を判断するように聴くことが重要です。

ポイント2
 状況の紛らわしいもの

ひっかけ問題を分類するとすれば、発音の紛らわしい問題のほかに「状況の紛らわしいもの」が考えられます。

例題をチェック:ひっかけ問題の対処法2

ひっかけ問題の写真2

(A) All the hoods are up except one.

(B) The vehicles are lined up one after another.

(C) The cars are all parked facing the same direction.

(D) One van is parked with several cars.


(A)1つを除き、すべてのボンネットは開いています。

(B) 車が前後に連なって並んでいます。

(C) 車はすべて同じ方向を向いて駐車してあります。

(D)1台のバンが数台の車と一緒に駐車してあります。

「状況の紛らわしい問題」とはどのようなものなのかを、下の例題を見ながら考えていきましょう。

まず下の写真を見たとき、次のようなことを思い浮かべるでしょう。

選択肢では、(A) が ③ の状況を逆手に取って、巧みに紛らわしくしています。「1つだけボンネットが開いている」という状況で... hoods are up except one. という英文を聞くと、「hoods と up と one と言っているから、これが正解だ」と勘違いしやすい。文頭の All を聞き落としてしまいがちなのだ。この文は、逆に「1台だけボンネットが閉まっている」という意味です。

また、① の「車が並んでいる」という状況を念頭に置いて(B) を聴くと、 これも正解に思える。しかし、この写真のように横に並んで駐車しているのは、one after another とは言わない。これは動いていることを意味する。(B) は、「車が前後に並んで数珠つなぎになっている」情景を表す文です。

ボンネットが開いた車はほかの車と逆方向に駐車しているので、(C) も間違いです。

この問題は、奥のほうに見えるワンボックスカー(van)を主語にして、 「ほかにも車はあるが、バンも駐車してある」と述べている(D) が正解。

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8.「写真描写問題」のための学習法

「写真描写問題」は 10 問です。200 問中 10 問なのでそんなに重要視しないかもしれませんが、TOEIC の中では最もやさしいパートですので、全問正解をねらいたいところです。全問正解をねらう学習法を考えてみましょう。

英語の語順で理解するために

TOEIC の英語は1度しか流れず、ナチュラルスピードです。

そして、よく言われることであるが、音声は流れる先から消え去っていくものなので、「頭からそのまま理解」しなければならない。後ろから前に訳していく「訳し上げ」は通用しないのです。

この「頭からそのまま理解」する習慣を付けるのには、写真問題が最適なのです。例えば、次の英文で考えてみましょう。

The seat of the bike locked with a chain is covered with plastic.
「チェーンでロックされた自転車のシートにはビニールがかぶせてある」

こんなに長い文はあまり出ませんが、ふつうは、locked with a chain から先に訳し、The seat of the bike をあとでくっつけます。しかし、こうした作業は、TOEIC では通用しません。

この英文を写真を見ながら聴くと、英語の語順で理解できるようになります。どうするのかと言うと、まず The seat of the bike が聞こえたら、写真のその部分を指で押さえるのです。次に locked with a chain が聞こえたら、チェーンを指で押さえます。最後の plastic を聞いたら、それを押さえます。

こういう作業をしていくと、誤答の英文では指で押さえられない部分が出てくるはずです。つまり、誤答は簡単に判別できるのです。日頃の学習に、この方法をぜひ取り入れてみましょう。

日常のトレーニング

最後に、日常のトレーニングを考えてみましょう。日常の情景を見ながら、 タクシーから降りている人がいたら、A man is getting out of the taxi. のような文を自分で作ってみるのです。これもかなり効果があります。

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