鹿児島弁の敬語には何段階かがある。

私は、生まれながらにしてバイリンガルである。
私の家族は、私が生まれる前の年に、現在の鹿児島県日置市から屋久島に移り住んだ。
なので、私の mother tongue は屋久島弁のはずである。

しかし、私が思うに、屋久島弁にはあまり敬語がない。仲間内の言葉遣いと目上の人に対する言い方もほぼ同じである。中学・高校のときも、先輩を「さん付け」で呼ばず、呼び捨てだった。

それだからか、祖母が屋久島弁を嫌った。なので、我が家の家族同士では鹿児島弁で話した。そして、学校では友人たちと屋久島弁で話した。

屋久島弁には敬語がほぼない感じだが、鹿児島弁には何段階かの敬語がある。

例えば、「どこに行くのですか」を、上から下へ並べてみよう。

 どけいっきゃっとでごわんな?
   → これは、いちばんの目上の人に対して。例えば、あまり親しくない近所のおじさんやおばさんに対して使う。

 どけいっきゃっとでごわしか?
   → それなりに上の人に対して丁寧に言う場合。

 どけいっきゃっとな?
   → 親あるいはよく知った近所の大人に対して。

 どけいっきゃっとね?
   → 上の言い方の女性版。あるいは、同等の人に対して女性が少し敬意を表して言うとき。

 どけいっとな?
   → 同等の人に対して、男性が言う言い方。

 どけいっとね?
   → 上の言い方の女性版。

 どけいっとか?
   → 同等あるいは目下の人に、男性が言う言い方。文尾の「か」は、かなりぶっきらぼうな言い方である。

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