hand を使ったイディオム。

hand ―「力、援助、保護、所有、方向性」というイメージ。

at hand 「手元に、近い将来に、用意のできた」
The matter at hand is who’s going to meet the president at the airport.
「火急の用件は、誰が社長を空港までお迎えに行くかだよ。」
 用意のできた状態や手元にあるすぐに処理しなければならない問題を対称にするときに使う熟語。名詞のあとに付けて使う。
【同】on the table「審議中で、準備ができて」

(at) first hand 「じかに、直接に」
The mayor will be here soon to see the flooding first hand.
「市長が洪水をじかに視察するため、まもなくこちらに到着します。」
 at を付けるのが一般的だが、会話では省略することも多い。
【反】(at) second hand「間接的に、又聞きで」
【類】in person「本人が直接、面と向かって」

(at) second hand 「間接的な(に)、又聞きの(で)、古物の(で)」
Don’t quote me on it. My information about a tax cut is second hand.
「それに私の名前を出さないで。減税の話は二次情報だから。」
 日本語でも中古品のことを「セコハン」と言ったりするが、これは second handが日本語化したもの。first hand と対にして覚えよう。
【反】(at) first hand「直接に、じかに」

bite the hand that feeds … 「恩を仇で返す」
I work for Meltrix. I can’t bite the hand that feeds me.
「僕はメルトリックスで働くよ。恩を仇で返すわけにはいかないもの。」
 文字通り、えさをもらう手にかみつくという意味。
【類】look a gift horse in the mouth「もらい物にけちをつける」 馬は歯を見ると年齢が分かると言われていることからできた熟語。

by hand 「手で、手書きで、手塩にかけて」
This sweater should be washed by hand, not in the machine.
「このセーターは洗濯機ではなく手洗いしてください。」
 この by は「手段」を表す。hand に冠詞が付かないことに注意しよう。
【注】by the hands of …「…の手を経て、…の力で」

change hands 「持ち主が変わる、次々に人手に渡る」
That building has changed hands twice in less than a year.
「1年も経たないのに、あのビルはオーナーが2度も替わったよ。」
 このhandは「所有者」という意味。
【類】go on the market「市場に出る」

dirty one’s hands 「手を汚す、人格(名声)を傷つける」
Mary would never dirty her hands firing someone.
「メアリーは、人を辞めさせるのに、決して自分の手を汚そうとしないんだ。」
 悪いことをするのを「手を汚す」と表現するのは日本語と同じ。また、この dirtyは動詞として使われている。
【類】down and dirty「やり方が汚い」
   have clean hands「やましいところがない」

force someone’s hand 「…せざるを得なくさせる、緊急手段を取らせる、決断を下させる」
We didn’t want to cut prices, but the situation forced our hand.
「値下げはしたくなかったが、時節柄そうせざるを得なかった。」
 この hand はカードの持ち札のこと。まだ出したくないカードを出さざるを得ない状況にすることを言う熟語。
【類】show one’s hand「手の内を見せる」

from hand to mouth 「その日暮らしで、貯えなしに生活する」
We’ve been living from hand to mouth ever since Roger lost his job.
「ロジャーが職を失ってから、私たち、その日暮らしなの。」
 前にliveを付けて使うのがふつう。狩猟などで手にした獲物を蓄えることなしに食べてしまわなければならない生活からきている。
【類】live on air「かすみを食べて生きる」

get out of hand 「手に負えなくなる、収拾がつかなくなる」
Your loud stereo is getting out of hand. Think of the neighbors.
「君の大音響のステレオは度が過ぎるよ。近所のことも考えなさい。」
 out of … は「…から離れる」ことを意味する前置詞句。手に負えなくなって手放すニュアンスが感じられるだろう。
【類】go overboard「度を過ごす、羽目を外す」

give someone a hand 「…に手を貸す、…を助ける、…を手伝う」
Can I give you a handwith those dishes?
「その皿を洗うのを手伝おうか?」
 主語が複数形でも、give … a hand は変わらず a hand のままである。
【同】lend a hand「手を貸す、手伝う」
【類】help someone out「…を手伝う」

hand in hand 「(2つのことが)関連して、手をつないで、互いに協力して」
Working these late hours and not getting enough sleep go hand in hand.
「夜遅くまでの仕事と睡眠不足が相まって起こっている。」
 例文のように、前には go を付けることが多く、あとには with … を続けることが多い。go hand in hand with … のようになる。
【類】have something to do with …「…と何か関係がある」

have a free hand 「自分の自由裁量に任されている、自由に行動できる
The new manager will have a free hand to make changes.
「新しいマネージャーは自由裁量で変革できることになっている。」
 a free handは「空いているほうの手」という意味から「自由裁量」といういみができた。
【類】get a free hand「自由裁量を任される」
   give … a free hand「…に自由裁量を任せる」

have a hand in … 「…に関係する、…に一枚加わる」
Dale had a hand in getting Jim fired, don’t you think?
「ジムの解雇にデールが一枚かんでいたって思わないかい?」
 ほとんどの場合、よくないことに関係している場合に用いる。
【類】be in charge of …「…に責任がある、…の係である」

have one’s hands full 「手一杯だ、手がふさがっている、忙しい」
Sue really has her hands full with two children under five.
スーは5歳にならない子どもを2人抱えて手一杯だ。」
 文字通り、「手がふさがっている」状態を表す。忙しいときなどには My hands are full. と言う。
【類】have … in one’s hands「…を支配する」

lay hands on (or upon) … 「…を捕まえる、…を手に入れる、…を傷つける」
If I ever lay my hands on the person who ate my doughnut, I’ll kill him.
「オレのドーナツを食ったヤツを捕まえたら殺してやる。」
 lay は「…を置く」という意味。直訳すると「…の上に手を置く」となるが、「…を捕まえる」という意味の熟語になっている。
【同】get one’s hands on「…を手に入れる」

lend a hand 「手を貸す、手伝う、手助けする」
Thanks for lending a hand by watching Timmy last night.
「昨夜はティミーの面倒を見てくれてありがとう。」
 give … a hand と同じ意味と用法。
【同】give one a hand「手を貸す、手伝う」
【類】be of service「…の役に立っている、貢献している」

off hand 「大ざっぱに言って、即座に、その場で、準備なしで、資料なしで」
Off hand, I’d say there are ten thousand people at this concert.
「ざっと見て、このコンサートには1万人がいるんじゃないかな。」
 1語の offhand は「ぶっきらぼうな、そっけない、即座に」という意味になるので、あわせて覚えておこう。
【同】right now「今、現在」

on hand 「近くにいて、居合わせて、出席して、手元に」
More people may come to the party. We’d better have more beer on hand.
「パーティーにはもっと来るかもしれない。もっとビールを置いておこう。」
 hand には冠詞が付かない。また、下の on one’s hands とも区別して覚えておこう。
【注】on one’s hands「(仕事や責任などを)抱え込んで」
  【例】I have too much work on my hands.「仕事を抱え込みすぎてしまったよ」

on the other hand 「また一方では、これに反して、そうではあるが、そうであっても」
Flying will be faster. On the other hand, the bus is cheaper.
「飛行機で行くほうが早いよ。でも一方、バスのほうが安いよ。」
 もともとは、次の on the one hand と対にして使われる熟語だったが、今ではon the other hand だけを単独で使うのがふつうになってきている。
【類】on the one hand「一方では」

show one’s hand 「手の内を明かす、計画を打ち明ける」
Never show your hand unless you’re really forced to.
「どうしてもって時まで手の内を明かしたらダメだよ。」
 トランプで自分の持っているカードを見せることから来た熟語。
【同】show one’s cards「手の内を見せる」

wash one’s hands of … 「…から手を引く、…から足を洗う、…と手を切る」
I’m washing my hands of the party. You make all the plans.
「私はパーティーの件から手を引くわ。あなた自分で全部やって。」
 日本語では「足を洗う」と言うが、英語では「手を洗う」ということに注目。これは、聖書からきた表現。キリストの処刑を前に、ローマ帝国の責任者であったピラトはリストの血の付いた手を洗い、「私は手を引く」と言ったという。
【類】walk away from …「…から引き上げる」 

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