アタック・イン・サマーとは?

 夏になって暑い日照りになると思い出すのは、アタック・イン・サマーと砂漠の町。

 砂漠の町のことは、このブログの「カリフォルニアの青い空」というシリーズに書いたので、ご興味があれば。

 アタック・イン・サマーというのは、暑い夏のあいだの新聞読者勧誘合戦である。
 学生時代、北九州市小倉にある新聞販売店で新聞を配りながら大学に通った。いわゆる「育英奨学生」である。梅雨が明けた夏の暑いあいだ「アタック・イン・サマー」という催しがあった。これは、 奨学生による拡張合戦である。夏の最も暑い時期の1週間ほど、他店交流で新聞勧誘をやり、その成績を競うのである。

 朝9時頃に他店に行き、その店の区域の担当者(奨学生)に案内されながら新聞の勧誘をやるのである。「あの家は朝日新聞を取っていて、もう長いから替えてくれるかも」とか「あの家は、けっこう新聞を替えているから、そろそろ口説けるかも」という説明を受けながら拡張をする。拡張というのは新聞の勧誘である。

 こうして3時間あまりを勧誘に使い、昼過ぎに店に戻る。そこには、冷たい飲み物と豪華な昼飯が待っている。

 昼食後、その販売店の店長や係の主任に、自分が勧誘して購読契約を取ってきた「購読契約書」を提出して、現金で勧誘料をもらうのである。
 当時、半年以上の契約だと1,500円、3か月で800円、1か月だと300円だった。1日で数千円の現金を手にすることも可能だった。

 その頃、300軒ほどの家に朝夕刊を配達し、集金をし、シバリ(契約の切れそうな読者を引き留めること)などの業務をこなして、1か月の手取り給料が3万円(4年次は4万円くらいになった)ちょっとだった。なので、1日当たり数千円を1週間頑張ると、月給と同じくらいの金額を稼ぐことも可能だったのである。

 この 「アタック・イン・サマー」は、夏の甲子園野球で朝日新聞に奪われた読者の奪回という意味があったが、ある意味では、奨学生に対するボーナスだったのかもしれない。

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