TOEIC を何度か続けていると、あるいはあまり間を置かずに受けたりすると、「あ、これは見たことのある問題だ」と思うことも多いかと思います。TOEICでは、5分の1から4分の1程度 (はっきりは分かりません) 、過去に出題した問題を再利用して使っています。
このことについて、以前にインターネットの掲示板で 「 TOEIC は卑怯だ。高い受験料を取っておいて問題を使い回しするなんて」 という投書を見たことがあります。
しかし、もちろんこれは、TOEICを制作・実施している ETS(Educational Testing Service) が、経費節減のためにやっていることではありません。
この 「過去の問題の再利用」 は、TOEIC の評価基準の不変性を確実にするためには非常に重要なことなのです。
TOEIC が信頼されている最大の要因の1つは、そのスコアが一定していて揺るがないということでしょう。
この評価基準の不変性のことをイクエイティング (equating) といいます。再利用した問題の正解率などを比較し、その結果を統計処理してスコアの不変性を保つわけです。この統計処理はありとあらゆる角度から検証します。
このように、非常に重要な要素なのですから、上で書いた掲示板のようなことを思う人が出ないように、実施する側はもっと情報を出すべきだと思います。今でも 「よくない使い回し」 と思っている人も多いことでしょう。
いっぽう、このイクエイティングを利用してスコアアップを図ろうとする人 (あるいは団体) もあるかもしれません。
たとえば、4~5回連続して受験し、あるいは受験させ、問題をしっかり記憶しておけば4分の1から5分の1の4~5倍だと「1」に限りなく近づくだろうと考える人もいるかもしれません。
しかし、そこは ETS。しっかり予防対策は施してありますから、効果は出ないでしょう。
また、こうして出題された問題を記憶していっても、再利用される4分の1程度の問題以外はすべて書き下ろしです。ですから、TOEICでは過去問を数多く解いて記憶しておくという学習法はあまり意味がありません。
もちろん、出題形式に慣れるという効果、あるいは出題者の意図が理解できるようになるという効果はあります。
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