TOEICの模擬問題を使って生活英語力を身につけ、英語の4技能を伸ばす。

 TOEICの模擬問題などを使って、英語力、それも英語力アップの総仕上げと言える「生活英語」を身につけ、そして英語の4技能を伸ばしていく学習のしかたを考えていきましょう。

TOEICの模擬問題集は、スコアアップ対策に使うだけではもったいない!


 TOEIC模擬問題やTOEIC対策本に使われている英文を使った学習法をいくつか紹介しましょう。
 ここでは、主に表現言語(スピーキングとライティング)を伸ばす方法について述べていきますが、表現言語が伸びるということは、同時に理解言語(リスニングとリーディング)も伸びるということですから、安心して学習を続けましょう。

 TOEIC受験対策の学習で、「これらは覚える必要のない単語」とか「本文を読まなくても、選択肢だけで正解する裏ワザ」のように、真の英語力ではなく受験テクニックを身につけることによってスコアだけを上げようとしている人が多くなってきた感があります。また、そうしたことを指南する対策本も、多く出ているように思われます。

 これは、まったくもったいないことです。

 TOEICの模擬問題集や対策本に使われている英文は、英語の4技能を伸ばすのにすごく適しているのです。これを有効活用しない手はありません。
 
 TOEICは「FSIスケールでレベル3程度の英語力が測定できればよい」という設定の元に作成されている問題ですから、使われている英文は、そんなにむずかしいものではありません。
 そして、ごくふつうのビジネスピープルや一般社会人が日常によく使う単語や表現をふんだんに含んでいます。この英文こそが「生活英語」なのです。この生活英語を多く使った英文を覚えて使っていけば、英語の4技能を伸ばしていけるのです。
 
 こうした生活英語に親しみながら英語を学んでいくのが、英語学習の完成への近道です。TOEICスコアを上げるための学習は当然必要ですが、それに終始せず、英語圏の生活やビジネスシーンを頭の中に思い描きながら学習し、生活英語力を身につけ、4技能を磨きましょう。
 これが実は、TOEICの正しい使い方とも言えるでしょう。

TOEICの英文を使った4技能アップ学習法

 TOEICの模擬問題や対策本に使われている英文を使った学習法を、いくつか紹介していきましょう。
 ここでは、主に表現言語(スピーキングとライティング)を伸ばす方法について述べていきますが、表現言語が伸びるということは、同時に理解言語(リスニングとリーディング)も伸びるということですから、安心して学習を続けましょう。

Part 1「写真描写問題」
 写真の中での人の動作や物体の位置関係、形状などを表す表現が使われています。こうした表現を使って、スピーキングの練習をしましょう。
 このパートで使われる英文には、道案内をしたり電話で人に道をたずねたりするようなときに使われる表現がよく出てきます。リピート練習やシャドーイングなどを採り入れ、英文がスムーズに口から出て来るように練習しましょう。

ポイント:
  写真の情景を思い浮かべながら、実際に自分が情景を描写している気持ちになってリピート練習やスピーキング練習をしましょう。実際に街中などで、建物などを見ながら、The bookstore is next to the bank.などのように、自分で描写しながら作文とスピーキングの練習をしてみるのもよいでしょう。

Part 2「応答問題」
 この問題は、まさにスピーキング能力を測定していると言えます。このパートだけが選択肢3つなのは、そのためです。ですから、このパートで使われている質問文と応答文は、スピーキング練習のためにあると言ってもよいでしょう。

練習方法1:
 スクリプトを見て、先に正解の応答を覚えておきます。そして、質問文の音声を流し、そのあと音声を止めて正解の応答を言います。質問文が流れたらすぐに応答することがポイントです。英会話はquick response(即応力)が命です。すぐに応答できるように練習を重ねましょう。こうして「質問文+応答文」のセットを数多く覚えていきましょう。

練習方法2:
 音声を編集できるソフトやアプリを持っている人は、音声編集で質問文だけを残したファイルを作ってみましょう。質問文のあとに、応答できるだけのポーズを設けておきましょう。そして、質問文を流しながら、その応答を空で言う(何も見ないで自分で応答を考えて言う)トレーニングをします。

ポイント:
 このパートも、Part 1と同じように状況をイメージしながら行うことがポイントです。質問文から、場所や時間、質問している人などの画像を頭の中に描きながら、自分で返答するつもりになって言うことがポイントです。

Part 3「会話問題」
このパートの問題には会話が使われていますから、これを使った会話練習ができるというわけです。ただ、長い会話文を使った練習は負担が大きいでしょうから、初めのうちは、短めの会話が交わされているものを選んで会話の練習をほうがよいでしょう。
練習方法:
 音声を編集できる人は、長い会話を節やフレーズごとに少しポーズを入れ、リピート練習やシャドーイングなどがやりやすいように音声編集をして使いましょう。ポーズのあいだにリピート練習、応答練習などをします。

Part 4「説明文問題」
 1人によるナレーションや録音音声などが使われる問題です。シャドーイングなどでスピーキング練習をすることはできますが、最初は大変かもしれません。最初は、リーディングのための教材として使いましょう。リーディングスピード(読む速度)を上げるガイドラインとして使うことができます。

練習方法:
 音声ファイルを調べると、その長さが分かります。これを参考に、この長さで説明文を読んで理解する練習をしましょう。話すスピードよりも速く、書かれた文章を読んで理解できるようになれば、その「読めるスピード」で話される英文は聞いて理解できるようになるのです。速く読めるようになれば、リスニング力がアップします。

Part 5「短文穴うめ問題」とPart 6「長文穴うめ問題」
 この2つのパートは、語彙力増強とライティング練習に使います。

練習方法1:
 選択肢に派生語が並んでいる問題を選び、品詞と意味の違いを調べて覚えていきます。この練習で一挙に4倍の語彙力が付きます。

練習方法2:
  同じように、紛らわしい意味の単語が並んでいる問題を選び、それらの語のニュアンスや使い方の違いを覚えていきます。同じく4倍の語彙力増強になります。

練習方法3:
 自分のビジネス分野や興味のある文を選び、書き写したりワープロソフトなどに入力したりしましょう。手書きのほうが身に付くと言われています。
また、主語や目的語、時制などを変えて書く練習もしていきましょう。

Part 7「1つの文書・複数の文書(読解問題)」
 いろいろな種類の文書や表、グラフなどが使われている問題です。このすべてを語彙力増強やライティング力アップのために使おうとすると負担やストレスが大きすぎ、挫折してしまいます。好きな文章などを選んで学習しましょう。
 お勧めは、次のような学習法です。

練習方法1:
 … the word “nearly” in paragraph 1, line 3, is closest meaning toのような指示文の設問があります。この設問だけを選んで学習します。いわゆる「言い換え表現」の学習です。この学習で、「英語を英語で理解する」習慣も付きます。

練習方法2:
 パート5や6と同じように模写(英借文)の練習もしましょう。chat文やtext-messageの文、メール文などから、気に入った文を探し、それを書き出していきます。
 名詞や時制などを変えて書く練習も採り入れましょう。そのほか、いろいろと自分で勉強法を考え出してみるのもおもしろいものですよ。

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