アメリカ映画で使われた重要表現を学習しましょう。
You Take Care
この表現は、1967年の映画 In the Heat of the Night(邦題は『夜の大捜査線』)に出てきたものです。
主演はシドニー・ポアティエ。黒人俳優として最初の主演男優賞を獲った人です。
母親に会うために、北部ペンシルベニア州のフィラデルフィアから、南部の小さな駅に降り立ち、待合室にいるところを、黒人だというだけで容疑者に仕立て上げられ、警察に連行されます。
動画は、ここにあります。
https://learningenglish.voanews.com/a/5829895.html
字幕の表現を見ていきましょう。
Welcome to English @ the Movies – American Classics where we teach you American English heard at the movies.
「『映画の英語 ― アメリカの名作』にようこそ。ここでは、映画に使われたアメリカ英語について学習します」
The 1967 movie “In the Heat of the Night” tells about the racial conflict between two police officers.
「1967年の映画『夜の大捜査線』では、2人の警察官のあいだで起きる人種間の葛藤を伝えます」
racial conflict は「人種紛争」のように訳されることもありまずが、この映画では、黒人と白人であるために起きる様々なあつれきのことを表現しています。
Virgil Tibbs is from the large northern city, Philadelphia in Pennsylvania, and a top crime investigator.
「バージル・ティブスは、ペンシルベニア州フィラデルフィアという北部の大きな都市から来ており、一級の犯罪捜査官です」
字幕では Pennsylvania のあとにはコンマがありませんが、前の the large northern city を説明する部分ですから、前後をコンマでくくる必要があります。
He helps Police Chief Bill Gillespie investigate a murder in his small southern town, Sparta in Mississippi.
「彼は、警察署長のビル・ギレスピーを助けて、ミシシッピ州スパータという小さな町で起きた殺人事件を捜査します」
help の目的語が Police Chief Bill Gillespie で、そのあとに investigate という動詞の原形が続いていることに注目。help は使役動詞のような働きをし、<help + 目的語+動詞の原形>の形をとります。to 不定詞になることもあります。
murder は「殺人、殺人事件」です。TOEIC には出てこない単語です。
After the crime is solved, Gillespie walks with Tibbs as he boards a train home.
「その殺人事件が解決したあと、ギレスピーは、家に帰る列車に乗るティブスといっしょに歩いています」
as he board a train home の as は接続詞で、いろいろな場面でいろいろな意味で使われます。ここでは「~しようとしているとき」、あるいは「~しようとしているので」と言う意味合いです。
home は副詞(故郷に向かって)なので、前置詞は付きません。
Listen for the words “You take care.”
「You take care という表現を聞いてみましょう」
Bye. Virgil. You take care. You hear?
「あばよ。バージル。元気でな。聞こえたか?」
You hear? の You の前に、少しだけ [d] 音が聞こえます。これは Did が「弱化減少」で聞こえなくなったもので、実際には Did you hear? と言っているのです。
Yeah.
「ああ」
What do you think “You take care” means? Is it,
「You take care はどういう意味だと思いますか。それは、」
(A) You will never see me again
「お前とはもう会うことはないだろう」
or (B) Goodbye, I wish you well.
「あるいは、(B) あばよ。元気でな」
The answer is (B) Goodbye, I wish you well.
「答えは『(B) 』の『あばよ。元気でな』です」
Take care is a way to say goodbye and wish someone well.
「take care はさようならを言い、誰かが元気でいることを願う方法です」
In the movie, it is Gillespie’s way of saying he has learned to respect Tibbs.
「映画では、ギレスピーがティブスを尊敬するようになったことを伝えようとしているわけです」
someone’s way of saying … という言い方は覚えておきましょう。
And that’s English @ the Movies.
「映画で英語表現でした」
動画の下にセリフが表示されますので、一時停止しながら、音声と確認しながら学習しましょう。
余話
この映画の冒頭に、次のような会話があります。
駅の待合室で夜行列車を待っていると、黒人だというだけで容疑をかけられ、警察に連行されます。
そこでの会話。
署長: What did you hit him with?
ティブス刑事:Hit whom?
署長: Whom? Whom?
You a Northern boy? What’s a Northern boy like you doin’ all the way down here?
ティブス刑事: I was waiting for the train.
署長: There ain’t no trains this time of mornin’.
Hit whom? のように、目的語に whom を使っただけで、「お前は北部の人間か?」と訊いているのがおもしろいですね。
また、南部では黒人に対して、大人であっても boyで呼び掛ける習慣があるようです。
そして、There ain’t no trains のように、否定を表すのに二重否定になる表現も映画ではよく使われます。
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