カリフォルニアの青い空 ― 37.花の配達のバイト ― その2

 前の記事で述べた「いろいろな occasion」 で主なものは、次のような行事である。

2月の St. Valentine’s Day(バレンタインデー)
 日本では、女性が男性にチョコレートをあげる日だが、アメリカでは双方が、あるいは女性が相手に花を贈ることが多い。

3月の St. Patrick’s Day(聖パトリックの祝日)
 これはアイルランドの祝日で、アメリカでもアイルランド系の人たちが盛大に祝う。何かしら緑色のものを身に着ける。花を贈り合ったりするので、花屋さんも忙しい。
 子供のあいだでは、緑色のものを着ていないとつねられるという遊びがあるらしい。私は緑色が好きで、緑色のTシャツをその日に着ていて、褒められたことがある。
 
4月の Easter
 キリスト教圏の国ではキリストの誕生日を祝うクリスマスよりも大事なイベントとされるところもある。イースターとは、十字架にかけられて亡くなったキリストが、その3日目に復活したことを祝う「復活祭」。

 Palm Springs がある Coachella Valley の砂漠の町は、もともと避寒地だった。アメリカの北部やカナダの裕福な人たちが、寒さを避けて住んでいた。特に、Palm Springs や College of the Desert がある Palm Desert という町、Rancho Mirage など町には、金持ちの人たちが多く住んでいた。
 11月の Thanksgivingが過ぎた頃から、冬のあいだをこの町で過ごそうとする人たちが押しかける。
 そして、4月の Easter を過ぎると、その人たちが北部へ帰ってしまうので、夏の暑いあいだ、町は閑散としてしまう。

 ただ、今では通年で過ごす人も増え、私が住んでいた頃(1976~1978年)に比べると、人口もずいぶん増えたようだ。

 5月の Mother’s Day は「母の日」、6月の Father’s Dayは「父の日」で、花の配達が最も多い時期だったように思う。

 ほかに配達が多かったのは、11月の Thanksgiving、そして12月の Christmas などである。
これらのほかにも、ちょっとした催しで配達にかり出されることがあった。

 こうした祭日前の週末は、朝から花屋に行き、「どこどこの家に配達してくれ」 という指示待ちである。取り立てて配達がないときは、店の掃除をやったり、花のアレンジの手伝いをしたりしていた。

 店の station wagonを使って配達する。なので、自分の車のガソリン代を心配する必要はない。

 アメリカの住所表示は、非常に分かりやすい。道路の名前に番号が付いているだけである。そして、偶数番号は左側だけ、奇数番号は右側だけのようになっている。
 もちろん、車に地図は積んであるが、出る前に地図をざっと見ておけば、ほぼ迷うことなく、その家に届けることができる。

 また、雨が降るようなことはまずない(It never rains in Southern California)ので、車を降りてから玄関口まで雨に濡れるようなこともない。

 配達先の玄関口で花の配達に来たということを告げ、伝票にサインをもらい、チップをもらって帰る。

 今でも、東京の街中で花屋さんに入ったり前を通ったりすると、花いっぱいの香りがし、アメリカで花の配達をしていたことをふっと思い出す。

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