TOEIC® L&R Test では、ほとんどの人がトータルスコアだけを気にし、スコアバランスが重要だと言う人が少ないようです。しかし、スコアバランスがとても重要なのです。
TOEIC のスコアバランスをたずねると、「私はリスニングスコアのほうが高いんですよ」と言う人は、どこか自慢げです。
でも、これは自慢できることでしょうか。
日本語の場合で考えてみましょう。
リスニング力に比べてリーディング力が弱いということは、人の話やテレビ、ラジオで言っていることは分かるけど、本や新聞を読んだりしてもよく理解できないということになりますね。
リーディングスコアよりもリスニングスコアが高い「L > R 型」は「ネイティブ・スピーカー型」とも言ったりします。つまり英米人に近いということで実は望ましい形なのでしょうが、これは英語ができる人の場合です。
たとえば、リーディングスコアが400点を超えてからのネイティブ・スピーカー型、つまり、この時点でリスニングスコアのほうが高いのであれば、その後の英語力の伸びが期待できます。
ですが、それ以前でのネイティブ・スピーカー型はその後の英語力の伸びが鈍化します。
下の表を見てください。
これはセパック(CEPAC=Communicative English Proficiency Assessment and Counselling System)というコンピューター・プログラムで算出したものです。
このプログラムは現在では使われていませんが、以前、企業内英語研修や大学での英語力を効率的に伸ばすために、このプログラムを使って、個人あるいはグループに必要な研修時間を算出していたのです。つまり「費用対効果」を割り出すのに CEPACを使っていたのでした。
上の表で、いちばん右にある「研修時間」というのは、目標であるトータル600点に到達するのにかかると予測される時間です。
四角で囲った2人のトータルスコアは、いずれも450点です。しかし、600点を取るまでにかかる時間は、上の人が350時間なのに対して、下の人は500時間となっています。実に150時間もの差があります。
どうしてでしょうか。
それは、上の人はリーディングスコアが高いからです。トータルスコアは同じですが、下の人のリーディングスコアが195点なのに対して、上の人は100点近く高い285点です。この差によって、150時間もの差が研修時間に現れるのです。
お金を払った研修でこれだけの時間を使うと、大きな金額の差になります。
大損です。
「英語力を効率的に伸ばすには、まずリーディング力を付けるべし」ということです。
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コメント
[…] この記事に、TOEIC はトータルスコアよりもスコアバランスのほうが重要だと書きました。そして、適切なことは、リーディングスコア満点の約半分の250点を基準として考えること […]