日本人のナースリー(中木原)さんからは、そのあともいくつかの庭仕事を紹介してもらった。
ある家の庭仕事を始めたのは11月に入った頃だったと思う。
私は庭師としてはまるっきり素人だ。
雇い主は私の庭仕事の技術には満足していなかっただろうが、続けさせてくれていた。週に1度くらい、落ち葉を拾ったり、除草したり、芝生を短く刈ったり、伸びすぎた木の枝を落としたりといった作業を2時間程度やる。
サンフランシスコに大学 (北九大) の同級生が住んでおり、1976年の年末と正月をサンフランシスコで過ごさないかと手紙が来た。
それで、たぶん12月29日だったと思うが、朝早く、アリゾナに近いと言える Indio の町を古いフォルクスワーゲンで出発し、サンフランシスコに向かった。
ロサンゼルスからは、海岸線の州道1号線をひたすら北上した。
途中、新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストが建てた、有名なハーストキャッスルにも立ち寄った。「ハースト」と言えば、ストックホルム症候群で有名なパトリシア・ハーストも有名である。パトリシアは、新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストの孫である。
サンフランシスコでは、太平洋に沈みゆく1976年最後の夕陽をながめながらハーフパイントのアイスクリームを食った。もちろん、全部は無理だったが。
サンフランシスコでの年末年始を1週間ほど過ごし、砂漠の町に帰ってきたのが、1月4日頃だったと思う。
次の週にバイト先の庭仕事に行くと、そこのご主人が 「先週は来なかったね。どうした?」 と言ってきた。
それで、「サンフランシスコに友人がいて、彼に会いに行ってきた」と答えると、上のタイトルの英語で問いかけられたのである。
Which is more important, your friend or my yard?
私は、次のように答えた。
My friend is more important.
その場でクビになった。
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