英語は「話すように書く」? それとも「書くように話す」?

 「英語学習のプライオリティはスピーキングだ」と主張する人たちの意見に、「ライティングのトレーニングは必要ない。話すように書けばいいのだから」というのがあります。つまり、スピーキングの学習を第一義に考え、その練習を続けていけば、書くときも話すように書けばいいのだという考え方ですね。
 「なるほどもっともだ」とも思えますが、語彙レベルから考えてみましょう。

 英語圏の高等教育(大学・大学院)を受けた英語のネイティブ・スピーカーが読んだり聞いたりする際の「理解語彙数」は5万~6万だと言われています。そして、ライティングのための「使用語彙数」が約 10,000 語で、スピーキングのための使用語彙数は、その半分の約 5,000 語だと言われています。

 つまり、高等教育を受けた英語のネイティブ・スピーカーは、10,000 語レベルの単語を使って書きますが、話すときにはその半分の 5,000 語になるというわけですね。ですから、私たちがスピーキングに特化した学習を続けると、最大の理解語彙が 5,000 語ということになります。

 理解語彙数が5万で、ライティングのための語彙レベルが1万、そして、スピーキングのための語彙レベルが5千ということは、これをスピーキングに特化した学習だけを続けている人に当てはめると、次のように言えるかと思います。

 最大理解語彙数= 5,000 語
 ライティングのための語彙数は、その5分の1= 1,000 語
 スピーキングのための語彙数は、そのまた半分= 500 語

 ということは、「話すように書けばよい」を守っていると、500語レベルの文しか書けないことになってしまいそうです。実際には、こんな極端なことにはならないと思いますけどね。

 日本語の場合でもそうですが、話すときは、書くのに比べて使う語彙レベルが極端に下がるのです。語彙レベルが下がると、なぜか内容や表現などのレベルも下がってしまいます。SNS の投稿によくみられるように、助詞を抜いた「昼飯食べた」、「新宿行ってきた」のようにな文になってしまいます。
こうした文は幼稚に見えますね。

 やっぱり「書くように話す」ことを目指したほうがいいのではないでしょうか。

VOA英単語

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