通常、私たちは in the morning, in the afternoon, in the evening, at night のように覚えており、night には at が付くほうに馴染みがありますが、in the night のように、night に in が使われることには、あまり馴染みがありません。
しかし、Strangers in the Night (『夜のストレンジャー』=フランク・シナトラ)という歌があります。in the night という表現は、実はよく使われるのです。
『[例解]現代英語冠詞事典』(大修館書店)によると、in the night と at night の違いを、次のように説明しています。
「in the night は1日の区分としての「夜間」に力点が置かれ、
at night は夜の「働き」(=暗闇)を表すので、「夜陰」に力点がおかれる(p.286)」。
以前に、夜にのんびりと一人で飲んでいる様子を、I’m drinking whiskey at night. と英語で日本人が書いてあるのを見たことがありますが、上の説明にあるように「夜陰」に力点が置かれることが強調されるという意味合いから言えば、I’m drinking at night. は、「夜暗くなるのを待ってこっそりと飲んでいる」といった感じになりそうですね。
のんびりと飲むのであれば、in the night を使って、
I’m drinking Scotch on the rocks in the night gazing at the moon.
「夜が更けて、月を眺めながらスコッチのオンザロックを飲んでいる」
のようにすると、静かに夜が更けていくのを楽しんでいる感じが出るかもしれませんね。
at night が「夜陰を強調する」ということから考えると、He visited me at night. は「暗くなるのを待ってこっそりと会いに来た」というニュアンスが出てくるかもしれませんね。
at night には、なぜ冠詞が付かない?
in the night には冠詞が付きますが、at night には付きません。ほかの時間帯(朝、午後、夕方)を表す in the morning, in the afternoon, in the evening には、いずれも冠詞が付きます。
ところが、at night には冠詞が付きません。なぜでしょうか?
昔の人たちは、暗くなったら寝て、明るくなったら起きるという生活だったので、夜の行動は限られ、「夜は短い点のようなもの」でした。
つまり、「暗くなったので寝た。目が覚めたらもう明るかった。夜は一瞬だ」という感覚だったのでしょう。
ある「点」を表すことになりますので、at が使われました。
day and night(昼も夜も)に冠詞が付かないことからも判断できるように、day や night は、「明るさ、暗さ」という機能を表す場合には、冠詞を付けません。
上で述べた in the night のように「時間的長さ」を表すときは冠詞を付けます。
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