英語のリスニングは「予測と軌道修正」のくり返し

 ほとんどの英語の学習書、特に TOEIC® L&R Test 対策本には、日本語訳が付いています。この日本語訳を先に見て学習してしまうと、理解の方向が日本語訳に決定づけられることになることも多いでしょう。その訳が微妙に間違っていたとしても、それに引きずられます。

 もし、TOEIC の「会話問題」の会話が次の文で始まったとすると、どういう場面や状況をイメージしますか。

 The management said some of the staff members might have to be laid off.

 この文は、次の2通りの日本語に訳すことができますね。

 1.トップの連中が、何人か解雇せざるを得ないと申しておりまして。
 2.上の人たちが、何人か辞めてもらうことになるかもとおっしゃっているんだよ。

 会話を聞き始めた瞬間に「1」のように理解すれば、これは社外の人(例えば記者)に向かって話している状況をイメージしたことになります。そして、話し手もレイオフの対象になりかねないという危惧が感じられますね。

 逆に、「2」のように理解すると、話し手は中間管理職、しかも部長級だと考えられ、部下に向かって話していることになります。話し手自身はレイオフの対象外にいる立場だとイメージできます。

 そして、もし次の発言が次のようだったら、完全に社外の人と話していることになる。

 So, have you started your job search?
 「それで、もう何か職探しを始められたのですか」

 もし、冒頭で「2」をイメージした人は予測が外れたことになり、瞬時に軌道修正をしなければならないわけです。

 そして、次の発言が出たら、こんどは「1」をイメージした人が軌道修正を余儀なくされることになります。

 Oh, no! My wife and I have just bought a house.
  「そりゃないよ。私たちは家を買ったばかりなんですよ」

 リスニングだけでなく何かを読むときも、こうやって「予測と軌道修正」を瞬時に行えるかどうかが理解力に大きく影響してきます。

 TOEIC の対策本で学習するときも、すぐに日本語訳を見るのではなく、まず英語だけを聞き、こうした「予測と軌道修正」のトレーニングをしてみるのがよいでしょう。

 下の教材には、こうした「予測と軌道修正力」を習得できる学習法が出ています。

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