カリフォルニアの青い空 ― 26.ハリケーン

ハリケーン ― その2

 アメリカの住宅には、基本的に床下がない。したがって、水や土砂が流れてくると、即「床上浸水」になってしまう。

 Dr. Kroonenの家の中の土砂はそんなに多くはなかったが、プールが完全に土砂に埋まっていた。底から縁まで2メートルくらい。個人の家庭のプールと言っても、けっこう大きい。それが完全に土砂に埋まっているのである。

 これを掻き出すのは大変だった。もちろん、重機はない。スコップと一輪車くらいである。
 しばらく肉体労働はやっていなかったので、疲れやすかった。それに、9月に入ったばかりで、日中は40度を超える気温の中である。
 
 10数人の若者(当時はみんな20代前半)が頑張ったので、土曜日の午後と日曜日の午前で、Dr. Kroonen の広い邸宅も、きれいに片付いた。
 
 スコップを使った手にはマメができた。それで、当時小学3年生の娘さんにマメを見せ、「これは何?」と訊いた。するとすぐに It’s a blister. と教えてもらった。この blister という単語は、その後、一度も聞いたことがないし、また使ったこともないが、今でもしっかり覚えている。
 
 「ブリスターパック」という錠剤などが入っている容器があるが、それは錠剤が入っている部分が、ちょうど水ぶくれ(blister)のようになっているからである。
 
余談
 私たちがDr. Kroonenのお宅を片づけているのを見た、道路をはさんだ家のご夫婦(けっこう年配だった)が「お金を払うから、我が家も片づけてほしい」と言ってきた。
 見に行くと、そんなに大変な被害ではないようだった。それで、「片づけましょう。お金は要りません」と言って、みんなで作業をした。
 
 すぐに終わった。
 

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