赤井田拓弥がカリフォルニア州 Palm Desert にある College of the Desert に留学していたときに起きた、さまざまな出来事をエッセイ風に書いています。
私がこの砂漠の町にやって来たのが8月5日。何度も書いたように、この時期、日中の気温は45度くらいまで上がることは頻繁である。
私より10日ほど遅れて、福岡出身の古賀くんという男がやってきた。私と同い年だった。そして、同じアパート(と言っても同じ部屋ではなく、同じ apartment complex の中の別の部屋だが)に住み始めた。
急な住環境や食事の変化で便秘になる人は多い。私も最初の数日そうだったが、古賀くんもご多分に漏れず、ひどい便秘に悩まされたらしい。
苦しみに苦しんだあげく、古賀くんは、ついに浣腸のお世話にならざるを得ないと判断した。そして、辞書で I’m constipated. I need an enema. (私は便秘です。浣腸器が必要です)という表現を覚えた。
そして、彼もまた、まだ車も持っていなかったので、1マイル離れたドラッグストアに、浣腸器を買いに行った。
忘れないように、道すがら I’m constipated. I need an enema. をリピートし続けたそうだ。
気温45度のなか、彼は歩いて1マイルを往復し、つまり3.2キロを歩き、アパートに帰ってトイレにこもり、施術に臨んだ。
そのアパートにある部屋はワンルーム(studio type)で、寝室を兼ねた部屋にはクーラーが付いていたが、トイレ(風呂といっしょ)にクーラーはなかった。
クーラーのないトイレにこもって浣腸を施し、小一時間を過ごした。
ものごとが解決したときには、3リットルくらいの汗が出て、便器のまわりは自分の汗で水びだしになっていた、と私に話してくれた。