カリフォルニアの青い空 ― 14.初めてのショッピング

赤井田拓弥がカリフォルニア州 Palm Desert にある College of the Desert に留学していたときに起きた、さまざまな出来事をエッセイ風に書いています。


ずいぶん書いたようだが、まだ、アメリカ到着2日目の話である。ロサンゼルスのホテルで朝を迎えた日がまだ終わっていない。

大学で ESLの責任者の先生に教科書を2~3冊もらい、夕方近くに、その後1か月ほど住むことになるアパートに行った。そこに日本人学生(先輩たち3人)がやってきて自己紹介をし合い、彼らがいろいろと世話を焼いてくれることになった。
この日本人の先輩たちの1人は、ミネソタ州の大学院にいる人で、夏休みを利用して、この町にやって来ているということだった。

とりあえず、当座の日用雑貨を買う必要があった。

アパートにベッドは付いていたが、枕やブランケット、シーツなどの寝具がなかった。そのほか、シャンプーや石けんなどの日用雑貨、そして、向こう何日分かの食料品 (牛乳やパン、ジャム、卵、ベーコンなどなど) を買いに、彼らが車でデパートやスーパーに連れて行ってくれることになった。

前に書いたように、38度を超える日が156日もある町で、8月の初めは暑さのピークである。当時はまだクーラーの付いていない車も多かったし、ましてや学生である。彼らの車にも当然クーラーは付いていない。のちに私が買った車にもクーラーは付いていなかった。

大学のある町 (Palm Desert) から10マイル離れた町、実は、先ほど私がグレイハウンドのバスを降りた Indioという町だったが、そこのスーパーとデパートのような店に連れて行ってくれた。

私は後部座席に乗った。クーラーは付いていないので、当然、窓が全開になっている。走り始めると、熱風が吹き込んできた。鼻や喉に熱風が入り込み、息ができないくらいだった。私は、両手で口をおおったまま。これには閉口したが、この暑さに、このあと2年付き合うことになるのだ。
そのうちに慣れて、今では、ときどきあの暑さが懐かしく思えることもある。

実は、あとで、この町(Palm Desert)にもスーパーやデパートのような店があることは後で判明したのだが、このときは、先輩たちはなんの迷いもなく10マイルも離れた町まで私を連れていった。なので、私は、今後ずっとこんなに離れた町まで買い物に行かなければならないのかと、恐れおののいたのだった。

いずれ車は買わなければならないが、どんな車がどの程度の値段で売っているのかも分からない。しばらく先輩たちに乗せてもらって買い物に行くことになるだろうが、10マイルも離れた町までではなぁと、愕然とした。

早くも、この大学を選んだことを後悔し始めた。

ただ、車の窓から見える砂漠の光景には感動を覚えた。だんだん陽がかげっていくと、木が生えていない砂漠の山々が紫色に変化していくのだ。これは美しかった。

こうして、アメリカ到着2日目が暮れていった。

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