赤井田拓弥がカリフォルニア州 Palm Desert にある College of the Desert に留学していたときに起きた、さまざまな出来事をエッセイ風に書いています。
グレイハウンドバスに乗る
ロサンゼルス空港近くのホテルからダウンタウンのグレイハウンドバスのターミナルまでタクシーで行った。
バスターミナルは、アメリカ映画に出てくる風景そのものだった。「これがアメリカだ」と思った。
Palm Desert に行くバスを聞くと、「Palm Desert を通るバスはないが、Indioという町を通る。そこで降りて、Palm Desert に行くバスの運行をたずねるように」という回答だった。
東に向かう長距離バスに乗った。アリゾナ州を抜け、東海岸まで行くバスだった。バスの料金は覚えていない。
初めて見るフリーウェイ。ロサンゼルスからフロリダまで行く州間高速道路10号線。片側だけで6車線もある。
反対車線を行き過ぎたり、私が乗っているバスを追い越していったりする、見たこともないモービルハウス(キャンピングカーの超大型。実際の家を牽引している)や、あこがれのハーレーダビッドソン、そして、ピーター・フォンダ主演の映画『イージーライダー』に出てきたようなチョッパーなどを見て興奮した。
今では、チョッパーを見ることはあまりなくなったように思う。
言わば特急のようなバスで、ロサンゼルスを出ると、次に停まったのが、ロサンゼルスから55マイル (約90キロ)離れた Riversideという町だった。この町でバスを下りて少し休憩。アメリカ映画によく出てくるシーンである。
その次に止まったのが、大学のある Palm Desert から10マイルほど東にある Indioという町だった。ここが私にとっての終点。
Indioのバスターミナルで降りて、Palm Desert に行くバスがあるかと聞くと、その日はもうないという。確か、まだ午後2時頃だったと思う。
まさか10マイルを歩くことなどできず、またしてもタクシーに乗ることになった。2日で3度目のタクシー利用だ。しかも長距離。
バスを降りたこの Indioという町には、私はのちに1年と9か月住むことになる。
思えば遠くへ来たもんだ。